今から100年以上前くらいの話。
とあるところに八百屋、
つまり店先で野菜を売っているチョウベエ(長兵衛)とかいう
男がいた。
その男は、囲碁が大の得意で
ものすごく強かったのであるが、
このことは、まわりには知られていなかった。
なぜならば、
得意先の客や、まわり近所の人達と
よく囲碁をうつけれども
その人達には、本来の実力をおさえて
上手く負けてあげていたからだ。
(たまに、わざとらしくないように、ちょっとした差で勝ったりもしてあげた)
つまり、不快な思いをさせずに
これからも、それらの人と仲良くして
自分のところの店で、野菜を買っていって欲しい、という
商売上の
接客仕事の方を優先していたからだ。
なので、まわりからは
そんなにチョウベエは
囲碁は強くないというイメージがあった。
しかし、そんなある日
チョウベエの店の近くにある、
近所の人が集まって
囲碁をうつ場所に、
当時の、国内屈指の囲碁の名家の出身である
囲碁のプロ棋士みたいな人がやってきた。
そして、その棋士いわく、
「 ん~、なんだココは?
まるでたいしたヤツがいないじゃないか?
せっかく頼まれたから来てやったのに
ホントに歯ごたえがなくて残念だ・・・
誰か他に、相手になるヤツはいないのか? 」
その言葉を
野次馬として見ていて
聞いてしまったチョウベエは
いてもたってもいられない、、、
奥底に眠る、
チョウベエの囲碁魂が刺激されてしまった。
「俺がいるよ・・・」
チョウベエは、その棋士の相手として
自ら名乗り出てしまった。
「ダメだ!チョウベエ!
お前なんかじゃ、相手にならねぇよ!
俺らでもまったく歯が立たなかったのによ~」
とか、、、、このように、まわりから、たしなめられたが
結局、対局することになった。
そしたら、意外や意外。
ただの八百屋の野菜売りであるチョウベエと
そのプロ棋士みたいな人とで、
まったくの互角の対局を、盤上で繰り広げるではありませんか!?
その棋士いわく
「へぇ、こんなところに、こんな強者(モサ)がいたのか・・・!
世の中は広いなぁ~」
そして、
この対局を見ていた、まわりの人は
「なっ・・・チョウベエって、あいつ、こんなに強かったのか!
ということは、今まで、わざと手を抜いて
俺たちと囲碁をうっていたんだな?」
、、、と気づくこととなった。
それ以降、
なんとなく、なにかの勝負で
わざと負けたような人がいた場合に、
それを見かけた人が
「これは、あの、八百屋のチョウベエ(長兵衛)が
やっていたことと同じ事をやっているのではないか?
う~ん、これを略して言えば・・・そうだ!」
・・・ということが、あったとか、なかったとか、いう話。
SH
<囲碁 野菜 拮抗 営業 八百長 由来 語源 始まり>