<質問の概要>
死んだ人間(死体) から財布等を盗んだ場合でも、
犯罪になってしまうと聞いたのですが本当ですか?
しかも、窃盗罪ではなく 占有離脱物横領罪 になるとか?
死んですぐの死体をあさって持っていくと犯罪になるんですか?
そもそも、死んだ人の持ち物って誰かの所有物なんでしょうか?
よくわかりませんので、教えてください。
お願いいたします。
<弁護士回答の概要>
死んだ人間の財布などの財産は、
その死んだ人の身内など、相続人の所有物となりますので、
相続人の断りもなく持っていけば犯罪になります。
相続人の手元にまだ死んだ人間の財産が無い時に、
奪うと、他人の「占有」を奪ったわけではないので、
窃盗罪はなく、占有離脱物横領罪 (遺失物横領罪) になります。
死んだ人間には物を 占有 する意思がないので、
死んだ人間本人の「占有」は失っています。
しかし例えば、もし人を殺して、
その際に殺された被害者の持ち物を勝手に持って行った場合は、
例外的に死んだ人に占有があるものと判断され、
殺人罪のほかに、窃盗罪が成立することがあります。
これは、法律よりも、
犯行状況の妥当性を重視した結論と言えるでしょう。
殺害後に関係のない第三者が通りかかって、
死体から持ち物を勝手に持っていけば、
先程お話した通り占有離脱物横領罪となるでしょう。
以上、参考までに。

<私の考え>
結論として、死人から持ち物を奪ったら弁護士の言う通り、
基本的に占有離脱物横領罪が成立すると考えていいでしょうね。
窃盗罪と占有離脱物横領罪の区別は、
大雑把に説明すると、
窃盗罪 は、
「誰かが今現在手元に持っているもの」を奪うことで成立して、
占有離脱物横領罪 は、
「誰も今現在手元に持っていないが、誰かに所有権があるもの」
を奪うことで成立します。
(自分で説明していて結構その通りだと思います。。。。)
死んだ人から物を盗むとかバチあたりだと思いますが、
「誰のものでもないなら、持って行ってもいいのでは?
もったいない!!」
、と思うことでもあるのでしょうか?
どうやら 死んだ瞬間に、
その死んだ人と血縁のある相続人等が、
死んだ人の持ち物の所有者となるらしいです。
厳密にいうと相続人が所有者になるらしいのですが、
複数いた場合は、しばらくは 相続人全員の共有物 になるらしいですね。
そのあと話し合いや、遺言があればそれに従い、揉めるようなら訴訟などによって、
持ち分を決めるようです。

では、死んだ人の持ち物は誰の所有物になるか分かりましたが、
“死んだ人自身” (つまり死体)は誰の所有物でもないのか?
死体自体なら勝手に持って行ってもいいのか?(誰得?)
財産的な価値もないし、誰の手元にもなければ大丈夫では?
と思う人もいるでしょう?
(たぶんいないと思いますが、ついでに勝手に話させてもらいます・・・)
死体自体は一応理屈の上から財物にはなり得ます。
まぁ典型的なのが歴史的価値があり、
保管されている骨とかミイラ的な遺体ですね。
そういったものではない通常の遺体でも、
財物として窃盗罪や占有離脱物横領罪の対象として、
扱うことはできなくもないですが、
勝手に死体を持って行った場合、
どちらかというと下記の刑法で処理されるのが普通ですかね・・・
(死体損壊等)
刑法第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、
三年以下の懲役に処する。
・・・いわゆる 死体等領得罪 ってやつですかね。
多分知っている人の方が少ないのではないでしょうか。
墓荒らしとかする人達を取り締まる用に、
用意された条文なのでしょうね。
こういう法律なり条文なりあるということも、
一応覚えておいた方がいいでしょう。(たぶん何かの役に立つ?)
・・・今回の記事は以上です。
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