<質問の概要>
座敷のある飲食店等から帰る際に、
自分の靴と間違えて
他人の靴を自宅まで履いてきてしまった場合どうなるのでしょう?
靴の所有者が警察に通報したりして被害届を出せば
警察がそのことで捜査して、
靴を履いてきてしまった人を特定したら
立件する可能性ってあるのですか?
<弁護士回答の概要>
警察は捜査しないと思います。
靴の履き間違いは、窃盗の故意がないので
犯罪は成立しません。
理屈上、自宅まで履いて帰ってきてから
自分の靴ではないと気づいて
持ち主に靴を返さないのは遺失物横領の可能性がありますが
警察が動く可能性は低いでしょう。

<私の考え>
まず自分の靴と間違えて他人の靴を履いて帰ってくること自体ありえないだろう?
と思っている人がいるでしょう。
しかし、革靴(サラリーマンが履いているような靴)を履いている場合は 有り得るのです。
まぁ普通なら、その場で靴を履いてみて「違う、自分の靴ではない」と気づくでしょうが。
靴を履き間違えてしまう具体例をあげましょう。
例えば座敷に上がるタイプの飲食店を想定してみると
① 鍵なしのお客さん全員共同の下駄箱に、
みんなが乱雑に靴を突っ込んでいたり、
② 下駄箱自体がなくて、玄関にお客さんの靴を並べている場合に、
(最近の下駄箱のある飲食店では、個別の鍵付きの下駄箱が用意されていることが一般的なので、上記①、②はレアケースかもしれませんが)
ちょうどその下駄箱ないし玄関に、自分の足のサイズと同じくらいのサイズで、
形が自分の靴と、似ている靴があったとしたら・・・
そういった状況で
自分がそこの飲食店で、お酒を飲んで帰宅する際に、
自分の靴と似ている靴を誤って履いてきてしまうことが実はよくあったりするのです。

ではもし、履き間違えて自宅まで帰ってきてしまったら?
普通に考えて飲食店まで返しに行くべきでしょう。
しかし、遠くてあまり行かない飲食店だったり、
なんとなく返しに行きづらいこともあるかと思います。
そのような場合、忘れてきた自分の靴を見捨ててもいいのなら
返さずそのまま放っておいても問題はないようです。
元の靴の所有者が、自分の靴に未練たらたらで、
警察に盗難として被害届出そうにも、
靴が無くなった状況を(上記①や②のような状況を)伝えれば、
警察も履き間違いでの出来事だということぐらいわかり、
盗難としては受け付けてくれないでしょう。
そもそも意図的に盗んでも、高価な靴でもない限り捜査はまともにしてくれないでしょう。
人が日常的に履いている靴の時価なんて安いものでしょう。

<居酒屋に落ち度は?>
乱雑に靴が置かれる状況を作り出した店に落ち度はないのか?と
自分の靴が無くなっていた場合には思うかもしれません。
しかし、法律に基づいてに店側に対して靴の弁償を請求することはできないでしょうし、
現実的ではないと思います。
けれども、実際に、靴を履き間違えられたことを、その場で店側に話して
「靴代金を弁償してもらう約束」頼みこんで取り付けたお客さんもいますので、
店側に対しても「何かしてもらえないか?」と、
ダメもとで言ってみるのも一つの手ですね。
(その人は、弁償の約束をして、実際に後日請求したら、店側から弁償を渋られたらしいですが・・・)
*** お勧めの本 ***
著者は元警察官で、現役時代に、どんなくだらない110番があったのか、
1ページごとに、110番かけてきた人の一言と、それに対する著者のコメントが一言づつ大きな文字で載っています。
読みやすいですし、「こんなことで110番していいのか?」と思う内容で満載です。
「別れたばかりで一人じゃ寂しくて、誰かと会話したくて110番にかけました・・・」
「ブランコの順番待ちしてたら、横から奪われた」
みたいな110番がかかってくるらしいです。
かなりお勧めの本です。面白いです。
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