1900年代初頭、まだギリで明治時代の頃の話。
とある遊女屋(遊郭というのか)で、
遊女として働いている女性がいた。
その女性は、家の借金を返すために仕方なく遊女として
そこで働かされていたのだ。
そして、そのうち常連客である、ある男性が
その女性と暮らしたいので引き取りたいと申し出て
代わりにその女性の持っている借金を全部返してくれて
その女性は、一応、自由の身となり、その後
その男性の家へと引き取られて、一緒に暮らすことに。。。
その女性としては、あのまま遊女屋で、いろんな人相手に
体売り続けるよりはマシか・・・っといった感じであった。

で、それで、その男性の家で、男性の情婦として暮らすこと数ヶ月、
その女性の実家の母親から、その女性へと手紙が送られてきて
「お前、家の借金、全部返したんだろ?
ちょっと私体の具合が悪いから、すぐに家に帰ってきて看病してくれ!」
とか書かれていて、何度も家に帰ってくるように言われた。
・・・・いろいろ母親に、思うところはあるのだが
(そもそも遊女として働かされることになった元凶)
このまま好きでも無い男の情婦をつとめ続けるよりかは
あまり好きでは無い母親のいる実家に、いったん帰った方がマシだ、、、
と、その女性は考えた。
一応、今、一緒に暮らしている男性が代わりに遊女屋に
高額の借金を返してくれたとはいえ
ずっと、その男性の情婦として
一緒にこのまま暮らしていく義務なんかなかった。
私に代わって借金返してくれた恩もあるし
すぐには実家にも帰りたくなかった、、、それに
他に行く当てもないから、仕方なくその男性の家にいただけだ。。。
(どうやら、当時、遊女は借金さえ遊女本人で無くとも
誰かが返してくれれば、その後の遊女の身の振り方に関しては
働かせていた店は、一切口出しとかしなかった)
それで、女性は勝手に、その男性のいる家から
とりあえず母親のいる実家へと、男性に黙って帰ってきたのであるが、
その後、男性から実家の方に手紙が来て
「私が、あなたの借金を代わりに払って苦界から救ってあげましたよね?
これはどういうことですか?
しばらくしたら、あなたと正式に結婚してあげようと思っていたのに、、、
こんなことになるのなら、
代わりに返してあげた借金分の大金、全額返してくれませんか?」
、、、といった内容のことが書かれていた。

このような場合、はたして、元遊女の女性は
自分をいったん引き取ってくれた男性に対して
その自分の持っていた借金分の、代わりに返済してくれたお金を、
今後返さなければいけないのか?
、、、、といった感じの、ちょっとした揉め事が当時あった、らしい。
なんか、こういう感じの揉め事は
けっこう当時は良くあったらしいとか・・・
というか、明治も末頃になっても、まだ
こんな借金のカタに遊女屋に、女性が強制で住み込みで
働かされることなんて普通にあったんですねぇ、
たしか売春防止法ができる、戦後まで続いたとか。
まぁ男性としては、高い金払って
代わりに借金相当分返してやったのに
逃げていってしまうなんてどういうことだ?
金返せ!
と思ってしまう気持ちは分からなくもないのですが、、、、、
(身請けの時に、女性本人の同意が、ほんの少しでも、
あったのかどうかは、はなはだ疑問ですがね)
とにかく結論を言えば、当時、別に
身請けされ引き抜かれた女性が、その後、男の元から逃げようが
どうしようが
男に払ってもらった金を、あとになって請求されても
返す必要はなかったみたいですねぇ。
そんな法律もなかったみたいですし。
行く当てが見つかり、男性の元にいるのが嫌になったら
逃げても別に構わなかったみたいで・・・
まぁ、引き取り手は、衣食住の面倒を見てくれる
金持ちの男のことが多かったですし、
出て行っても、行く当てもなければ生活も成り立たなければ
そのまま我慢して居続けた方が、引き取られた女性にとっては
まだマシだったということもあり
みんながみんな、
とっとと逃げ出していったわけではないみたいですが。
SH
・・・みんな別々のこと好き勝手考えてますよねぇ、
それが人間ってもんですからねぇ。
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