<質問の概要>
民事訴訟で書面のやりとりにおける、
相手の主張する事実に対するこちらの “諾否” についてお聞きします。
(諾否・・・とは、例えば
相手<原告>が借金の返済をこちら<原告>に求めてきていて、
「お前に金を貸したけれども、まだ返してもらっていない」と主張してきた場合に
こちらがその事実を認めるか、否定するか、決めないといけないこと、、、
もし、いったん認めてしまうと、以降その事実が実際にあったものとして訴訟が進む)
相手の主張してきた事実について、いったんは「認める」としたが、
あとから「否認」(認める)に変更することはできますか?
また逆に、「否認」から「認める」と変更することはできるのでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。
<弁護士回答の概要>
“諾否”を変更することは、よくあることではないですが
あることにはあります。
こちらが勘違いしていたりして、間違って諾否してしまった場合には
諾否を変更する、つまり訂正することはできますし
そうするのが筋でしょう。
ただし、「否認」から「認める」に変更することは容易ですが、
「認める」から「否認」に変更することは難しいでしょう。
特に、相手が主張する事実が、こちらにとって不利益な事実であって
その事実をいったんこちらが認めてしまったら
原則として、変更ができない、とされることがあります。
以上、参考までに。
<私の考え>
民事訴訟は、訴えた人(原告)と、訴えられた人(被告)が
お互いに書面に自分の主張したい事実を書いて
裁判所に提出しあい進んでいきます。
(もちろん相手方にも送ります)
そして書面が送られてきたら
原告であれ、被告であれ、お互いに
相手の主張してきたことが事実だと認めるのならば「認める」、
事実だと認める気がないのならば「否認」として、
反論をまた書面に書いて提出します。
(お互いの主張・反論が大体煮詰まるまで、
この書面でのやりとりが繰り返されます・・・煮詰まったら裁判官の判断でストップします)
それで書面でのやりとりの具体的な内容ですが
たとえば、原告(訴えた人)が、被告(訴えられた人)に対して
「お前に金貸したら返せ」と書面に書いて主張してきたら、
被告は「否認する。理由は、そもそもお前から金なんか借りていない」と
書面に書いて反論します。
しかし、一度でも相手の主張してきた事実に対して「認める」と書面に書いてしまったら
その認めてしまった相手の主張してきた事実が“実際にあった”ということになり
以降訴訟中、 その事実があった 、ということを前提にして訴訟が進んでいきます。
(余談ですが、重要な事実をひとつ認めてしまっただけで、
それがきっかけで訴訟に負けることも・・・
しかし、だからといって嘘をついて、相手の主張してきたことが事実なのに、
「そういった事実はない、否認する」と反論をして後からバレた場合は
裁判官からの信用をなくてしまい
今まで自分が主張してきた事実すべての信憑性を疑われますので
相手の主張してきたこと事実が本当であれば、それが自分にとって不利な事実でも、
それは本当のことだと認めるべきです。
それに相手が事実を証明するしっかりした証拠を持っていれば、
こっちの、相手の主張してきた事実を否定する、という嘘は意外とバレやすいです)
さきほどの話の続きですが、
「お前に金貸したから返せ」と原告が主張してきて
被告がその主張を一度でも「認める」としたら、
“原告が、被告に金を貸して、それを被告がいまだに金を返していない”
ということが本当にあった事実になります。(訴訟の中では)
・・・実際には原告が被告に一切金を貸していなくともです。
そしていったん認めてしまった相手の主張してきた事実を
あとから「やっぱり違います」と否認してなかったことには、ほぼできません。
相手も「一度認めた事実を否定するな!」と言ってくるでしょうし
自分が不利になるようなことは見逃さないでしょう。
特に相手にとって都合がよく、こちらにとって不都合とみられる
相手の主張してきた事実を
こちらがいったん軽率にも認めてしまった場合は
なおさら変更は裁判官に認められないでしょう。
もっとも相手にとって都合のいい、相手が主張してきた事実を
訴訟中ずっと、こちらは「否認」してきたが
途中で「認める」と変更するのは簡単ですけどね。。。
相手も喜ぶでしょうし。
SH
民事訴訟の仕組みや流れを簡単に知りたいのなら、
最初はまず、民事訴訟に中でも“少額訴訟”について勉強するといいと思います。
私は以前この本を、本屋で立ち読みしたのですが、
漫画も混ざっていますし、結構読みやすいと思いました。
絵があるとイメージしやすいですし。
少額訴訟について分かれば、通常訴訟(普通の一般的な訴訟)についても
大体どんなものか分かると思います。
まぁ、しかし、少額訴訟自体はあんまり実際にもちいられることはありません、、、、
なぜなら、訴えられた側、つまり被告が
少額訴訟を拒否することができますし、
拒否されたら通常訴訟に移行してしまいますので
それならば最初から通常訴訟でやればいいじゃない、ということになる。
ちなみに被告が弁護士雇ったら、
弁護士にすすめられて100%通常訴訟に移行するでしょう。
法律とか勉強するときは難しくいろいろ書いてある本より
今回紹介したような簡単に読める漫画とか小説になっている法律関係の本を
サラサラと読んだ方が勉強の効率がいいと思います。
やっぱりイメージをつかむことですね。
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