“当事者照会”という制度は役立つのか?

聞く耳

 

 

民事訴訟の中の制度で、“当事者照会”という制度がある。

 

これは、訴訟(裁判)が、はじまった後に

訴訟の相手に、訴訟で争う内容やら事実に関して“のみ”

分からなくて聞きたいことがあれば

裁判所を間に挟まず、直接相手に

書面を送って聞くことができる、という制度です。

(・・・民事訴訟法 第163条より)

 

形としては、聞く側が、照会書なるものを相手に送って

聞きたいことを質問して、

それに対して聞かれる側が

回答書で、質問されたことを書いて、送り返す、というもの。

 

 

 

普通の郵便で送ってもいいのですが

送っても相手に「そんなのもらっていない」とか、あとから言われるのも嫌なので

送った記録がちゃんと残る

内容証明郵便で送るのが普通です。

 

というか、民事訴訟法に

こういった質問の仕方を「当事者照会!」と、一応規定してはいるが

直接相手に質問を送ることになっていて

裁判所を介さない時点で

ただのお手紙を相手に送っているようなものですよねぇ・・・・

 

 

え~と、余談 ですが、

このような当事者照会の制度とは別に

“提訴前照会”という質問制度もあります。

 

当事者照会との違いは、ザックリ言うと

裁判が、始める前に出来るのが、この提訴前照会で

裁判が始まった後に出来るのが、最初に話した当事者照会、ということになります。

 

そして、

裁判が始まった後に出来る

当事者照会は、提訴前照会よりも、簡単にできるらしいです。

裁判が、はじまった後なら、自由に質問しやすい、ってことですね。

 

そして、

当事者照会

裁判の、原告(訴える人)から被告(訴えられる人)へ、

逆に、被告から原告へ

自由にどちらからでも質問できますが、、、

 

提訴前照会では

原告(となる人)から、被告(となる人)へのみしか

質問できなかったはずです。

<裁判始まる前だから、「となる人」、表記なのです>

 

まぁ、ここまで提訴前照会について話しましたが、

今回の記事で話したいこととは関係ないので、話は戻ります。

 


 

この当事者照会を用いて

よく原告が、被告に対して、たとえば、、、

 

元従業員が、会社に対して未払いの残業代を請求するときに

会社に対して、

「 俺が残業した記録、持っているだろ!その記録について教えろ! 」

とか、、、

 

また、金を貸した人が、金を借りた人に対して

「 お前、俺から金借りてないって言うけど、

俺がお前に金貸すときに、お前の口座に金振り込んだんだけど

そのことを確認するために、お前の口座の入出金記録について教えろ! 」

とか聞くわけですが・・・・

 

 

しかし、当事者照会では、相手に聞かれたこと(質問されたこと)に関しての

回答義務は無い!!

つまり、回答書を書いて、送り返してやる必要なし。

無視しても良い、ということになっている。。。

 

 

そして、普通は

そのように回答義務も無く

回答しないことに対する罰(ペナルティ)もないのであれば

まともに回答する人なんていません!

 

まず、相手に弁護士が付いていたら、まともに取り合ってくれないでしょう。

というか、下手に、なにかしらの回答を書いて、回答書を送り返すと

それ自体が、相手に有利な証拠として、用いられてしまう危険性がありますので

わざわざ塩を送ってやることはない。

 

裁判所とかで、相手方と顔合わせたときに

口頭上で、

「 あなたが質問してきたことは、

とにかく訴訟とは関係ないことだから

私が回答する義務なんて無いですし、それにそもそも

私に聞きたいことあるなら、裁判の中でも書面のやりとりするんだから

そこに書いて提出しろ! 」

とか言われます。

 

なので、当事者照会を用いても

相手に回答を強制することができないので

この制度は、意味の無い制度だとも言われています。

( ・・・それに回答を強制できたところで、嘘つかれるかもしれませんし )

 

 

実質、当事者照会の制度は死に制度となっている。。。。

しかし、一応、制度として正式に確立はされているので

その当事者照会の制度を用いて、

たとえば

原告が、被告に質問したのに、被告がそれに答えなかったら

そのことを裁判の中で

原告が、裁判官に告げたら

裁判官から、被告への不信感を募らせることが出来て

原告にとって有利な裁判の流れを作ることができて

優位に立てるのではないか?

 

だから、当事者照会の制度を用いて

相手がそれに答えなくとも、結構役に立つのではないか?

とか言われていますが、、、、正直これは微妙ですねぇ。

 

もう訴訟は、始まっているんですから

(当事者照会自体、訴訟開始後にしかできない制度ではありますが・・・)

そんな制度を使ってコソコソと質問せずに、

先にも少し述べましたが、やっぱり

堂々と、裁判の中で提出する

お互いの主張を述べて、やりとりする書面(準備書面)に

聞きたいこと書いて、裁判所を介して質問すればいいでしょうよ。

 

そっちの方が、裁判官の印象に残るし

裁判の中でならば

相手が、こちらが聞いたことに答えなければ、そっちの方が

裁判官も「ん?なんで答えないの?」って感じになるし

より相手方の印象を悪くさせる効果があるでしょうよ。

制度を使って、あえて、まわりくどいマネしなくても・・・

 

 

そのことが分かっているから、

弁護士さん達は

この当事者照会の制度をほとんど利用しないんでしょうかね?

相手に聞きたいことは、全部、裁判の手続きの中で

裁判官(裁判所)を間に挟んで聞くべし、ってことか?

 

しかし、相手に弁護士がついていなければ

こっちが制度を利用して質問したら

もしかしたら真面目に回答してくれるかもしれないし(笑)

場合によっては、利用できるかもしれませんねぇ。

 

でも、裁判所を介さずに、直接、相手に質問するという

当事者照会を闇雲(やみくも)に使うと

そのことが相手方から裁判官に知られたら

「どうせ、訴訟と関係ない

たわいもないこと(相手のプライベートなこと)を質問しまくって

嫌がらせみたいなことしているんだろうなぁ・・・」

とか思われるらしいので、考え物かもしれませんねぇ。

 

( ・・・例としては、

「 なんで、契約を履行しないんだ!

手間かけさせやがって、裁判沙汰にしなくちゃいけなかったじゃんか! 」

とか、ホントに、訴訟に関係ないこと聞いて

八つ当たりする人が多いらしい、この制度利用して。。。 )

 

 

SH


本当に賢い人の 丸くおさめる交渉術

 

 

 

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