<質問の概要>
もしも、私が損害賠償などの民事訴訟で訴えられて、負けてしまった場合に、
私の口座の預金を差押える強制執行をされるのが嫌だったので、
(自分の預金を預けている銀行に差押えの連絡入れられたくない、印象悪くなるから)
差押えをかけられる前に、私から任意で賠償金を原告に支払ったとします。
しかし、任意ですでに払ったのに、
相手方が「まだ賠償金を払ってもらっていない」と裁判所に嘘ついて、
私の口座に差押えをかけてきた場合、
その相手を何かしらの罪に問うことはできるのでしょうか?
任意ですでに払ったのに、差押えかけてくるとか、二重取りじゃないですか?
以上、よろしくお願いします。
<弁護士回答の概要>
原告を詐欺罪に問うことができる可能性があります。
訴訟の判決で出た原告の請求債権が、
被告の任意による弁済によって消滅しているのに、
原告が、自分の請求債権がまだ残っているように装って、
裁判所に差押え(強制執行)の手続きを取ってもらった場合、
裁判所を騙して、被告から財物を交付させた(詐欺)とみることができるでしょう。
以上、参考までに。
<私の考え>
今回はもし、被告(質問では“私”としていますが)が敗訴後に、
任意で原告に、判決で出た賠償金を支払ったのに、
それでも被告の口座に差押えをかけてきた場合の話です。
大抵、訴訟で負けた被告は、
相手が差押えの強制執行をかけてくる前に
判決で出たお金を原告に支払ってしまいます。
自分の預金の置いてある銀行に差押え手続きの連絡入れられたくないので、
潔く払ってしまうことが多いでしょう。
あと、もちろん賠償金の二重取りは許されません。
しかし、性格の悪い原告の場合、すでに払ったのに、
「まだ賠償金払ってもらっていないから、差押え強制執行かける」
とか、嘘ぬかして、もう一度賠償金をせしめようとします。
だから被告が任意で、原告に賠償金など支払う場合、
ちゃんと一筆原告に「判決で出た分の賠償金を受け取りました。」
と書いてもらうべきでしょう。
また原告の口座に賠償金を振り込んだ場合は、
口座に振り込んだ時に明細書が発行されると思いますので、
それを証拠として保管しておきましょう。
それらの証拠さえあれば、
原告が裁判所に差押えの申請して、
裁判所から訴訟で負けた被告へ差押えの連絡が入った場合に、
すでに支払ったという証拠を裁判所に提示できますので、
裁判所に対して原告の「請求異議」を申し立てることができるでしょう。
裁判所が、被告が原告に判決通りすでに賠償金を支払ったことが確認できれば、
裁判所は執行を取り消しますので、原告の二重取りを防ぐことができるでしょう。
ちなみに余談ですが、
原告が裁判所を「まだ賠償金支払ってもらっていない」と嘘ついてだまして、
差押え強制執行の手続きを取らせて、
被告から賠償金をもう一度せしめようとするのを、
三角詐欺、といいます。
だます人が原告、だまされる人が裁判所(職員)で、被害者は被告ですよね?
このように三角関係にあります。
だまされる人と、被害者が一致しないのが三角詐欺の特徴です。
通常の詐欺では、だまされる人が、被害者となります。
ついでに知っておいてください。
今回の記事に書いたようなケースの裁判所に対する原告詐欺が、
実際に刑事事件として立件されるのは難しいかもしれませんが、
すでに支払った証拠さえあれば、
なんとか被害を防ぐことぐらいはできるでしょう。
・・・まぁ今回の記事はこんなところで以上ですかね。。。。
あとで記事をところどころ修正するかも。
SH
今回の記事に合わせて、とりあえず詐欺関連の本を紹介。
深く理解しようとは思わずに、若干フィーリング(なんとなく雰囲気)で読む、と
なんとなく内容が理解できるし面白い。
なんというかこの本に出てくる詐欺を働く人達は
詐欺なんて犯罪に手を染めて金を手に入れなくとも
普通に働いていてもかなり成功しているだろう、と思うほど
頭がいいと思うのだが。。。
騙して金を手に入れた方が楽だからか?
それにしても肝すわっていると思う。
失敗したら捕まるリスクがあるでしょうよ。
このような詐欺の手口関係の本を
よく読んだりしますが、いつもスゲーって感じますね。
知能犯ばかりなんだけど
よくこんなこと考えつくなー、と思う。
そして考えついてためらいなく実行するところがまた、天才なのか馬鹿なのか。。。。
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