今回は弁護士に質問したことについての解説ではありません。
ネット上で見かけた海外の記事に関しての感想を述べます。
****** 大体、以下のような内容の記事です *******
とあるフランスの大富豪の70歳ほどの男性が、25歳年下の妻と結婚したらしいのですが、
当初から周りの人達から「財産目的で妻が、その大富豪に近づいたのではないのか?」といわれていました。
そして結婚した翌年に、その大富豪が突然交通事故で死んでしまいました。
その大富豪をひき殺したドライバーが妻の知人だったそうです。
大富豪の夫が死んだ直後に妻が、「夫の財産を相続する」と宣言しました。
しかし、うまく妻は大富豪の夫の財産を相続はできませんでした。
なぜなら、妻が相続を宣言した後、
夫が生前書いた遺言書が発見されて、
そこには「知人や親戚に財産を渡します」と書かれていたからです。
妻は「夫が生前書いた本当の遺言書かどうか確認してほしい」、
という内容の訴訟を起こして確認しましたが
裁判所は本物だという判決を下して
妻は一切大富豪の夫の財産を相続できなかったようです・・・・
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こんな内容の記事でした。
まぁたぶん妻が財産目的だったのは明らかなのでしょうが、
それ以前に、「一切相続できなかった」と記事に書いてあったので
現在のフランスに遺留分の概念がない?ことに驚きました。
(フランスの現在の民法が実際に遺留分に関して、どう規定しているのかは知りませんが、あくまで記事を読んでの感想です、、、というか日本の民法はフランスから取り入れたので、フランスにも遺留分はあると思うのですが・・・?)
そもそも遺留分とは、
被相続人(死んだ人)が遺言書に、
自分の家族など法定相続人以外(要は他人)に
全財産を贈与する内容を書いたとしても、
その贈与が、ある程度無効となり、
家族のもとに生活保障のためにいくらか財産が残るという規定です。
日本の民法の規定では
配偶者(妻)のみが相続人の場合、被相続人の財産を1/2もらえるという規定になっています。
日本の民法に照らせば、
もしその大富豪が100億の財産あれば、50億を妻がもらえるので、
100億の財産もらった知人や親戚に、50億返せと請求できるわけです・・・
しかし実際、遺留分の請求訴訟(遺留分減殺請求訴訟といいますが)は
弁護士つけて、かなりがんばらないといけないので手間がかかりますし、
勝訴したとしても、本当に財産戻ってくるのか不安な部分もあります。
なので相続が始まる前、すなわち被相続人(死んだ人)の生前に、
可能なら、いくらか金をもらったり、不動産の名義の変更なりしてもらった方がいいと思います。
なんとなく予兆があれば、このように未然に被相続人が他人に全財産を贈与すること、を防ぐこともできるでしょう。
記事の話に戻りますが、実際は妻もいくらかは生前に夫から
金とかたくさんもらっているんじゃないでしょうか。
一切そういうことがなく、記事の話通りなにも相続できなかったのなら
可愛そうだと思いますが、妻に何か落ち度(笑)があったのだと思います。
*** おすすめの本 ***
相続関係の法律の仕組みはなかなか分かりにくいのですが、
この本はところどころ漫画で説明してくれているので
なんとなくイメージで理解できます。
それに中身がかなりつまっていますし、
相続の重要なところはちゃんとおさえている。
というか重要なポイントに絞ってしっかり書かれている、といった方がいいのか。
とにかくこういった本は相続が発生する前に読むべきです。
相続が実際に発生した時に誰かに手続きについて相談するにしても
予備知識が無いとかなり戸惑いますし、
時間制限のある手続きもありますので。
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