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損害を受けても訴えない合意をした後でも訴えれるか?

契約後

 

 

世の中では、契約の相手方が、

こちらの不手際をついて民事訴訟を起こしてこないようにするために

あらかじめ相手と契約する際に、

なにか契約上問題が発生しても民事訴訟を起こせないように

合意(約束)することがあります。

 

 

たとえば、

売主Aと買主Bとの間で

なにかしらの商品の売買契約を結んで

買主Bはちゃんと代金をすでに払ったのに

売主Aが約束の期日を過ぎても商品を引き渡してくれないので

買主Bが売主Aに対して

民事訴訟を起こして

商品の引き渡しを遅滞したことによってこうむった損害の賠償を請求したり

強制的に商品を引き渡すように請求しようとしても

事前に、売主Aと買主Bとの間で

 

「今回締結した売買契約において

売主Aが買主Bへの商品の引き渡しが遅れても

買主Bは売主Aに対して訴訟を起こすことはしません」

 

と、取り決めてお互いに合意していれば

 

通常、その合意は有効だとみなされて

今回締結した売買契約に関してだけは

買主Bから売主Aに対してなんら訴訟を起こして請求することはできません。

 

 

このような同意のことを、“不起訴の合意”、といいます。

(刑事手続きの起訴とか不起訴とはまったく関係ありません)

民事訴訟法などに条文として明記されているわけではないですが

一応、有効な合意としてみなされています。

 

 

この不起訴の合意がなされる理由としては、

今回のたとえに照らして言えば

もしも、売主A本人しか取り扱っていない珍しい商品があって

それを買主Bが

 

「どうしても欲しいので売ってください!」

 

と頼んできた時に、売主Aが

 

「売ってあげてもいいが、

ちょっと仕入れるのに時間がかかるので

商品の引き渡し期日が

約束した期日を過ぎるかもしれないので

念のために、あとから文句を言われて訴訟とか起こされないように・・・」

 

と考えて、不起訴の合意が結ばれることが考えられます。

 

 

不起訴の合意があると、訴訟(裁判)を起こそうと

裁判所にかけあってみても

裁判官に、

 

「その契約のことに関して問題が起こっても

訴えません、って事前に合意したんだから訴えても意味ないよ!」

 

ってな感じで(訴えの利益がない、ということで)門前払いされます。

 


 

 

しかし、今回あげた、たとえで言うと

もしも、

売主Aと買主Bとの間に、

複数の売買契約が結ばれていた場合に

 

「売主Aと買主Bとの間で、今締結されている

“すべて”の売買契約において

売主Aから買主Bへの商品の引き渡しが

約束の期日よりも遅れたとしても

買主Bは売主Aに対して、なんら訴訟を起こしません」

 

という内容の、不起訴の合意を結んだとしても、

そのような合意は無効となるので

買主Bが売主Aに対して訴訟を起こしたら、

ちゃんと裁判所に審理されます。

 

 

なぜ、その不起訴の合意が無効になるかというと

売主Aと買主Bが締結した契約の中の、

どの契約に関しての訴訟を禁じるのか、
特定されていないといけないからです。

 

 

すべての締結された(売買)契約に関して、

訴訟をしない、という合意は認められません。

でなければ、国民の裁判を受ける権利が

やたらと侵害されることになってしまうからです。

 

「この契約の件に関してだけは訴訟を起こしません」

といったふうに、ある程度特定して、その事案に関してだけは

訴訟を起こさない、という不起訴の合意であればOK(有効)です。

 

 

 

 

<契約 損害 合意 民事 裁判 約束 事前>