会社から従業員がおつかいを頼まれて
備品や消耗品を購入してきたとしましょう。
そして、それらを買う際に、
とりあえず自分の金で
一時的に立替えて支払をしてきた、と。
それで会社へ戻ってきて、買ってきた物を引き渡して
経理に対して
「自分が立替えた分の金を払って欲しい」
と、頼みました。

しかし、経理に
「今手元に現金が無い」だとか、
「今他の仕事に取り込み中だからあとにしてくれ」とか言われて
立替金の支払いを引き延ばされて、
暗に支払いを拒まれてしまった。
あげくのはてには、
「買ってきた物はあんたの私物とかじゃないのか?それ経費で落ちないから」
と言われてしまったら。。。。
こういう場合、どうやって自分が会社のために立替えた金を
経理というか、会社に払ってもらったらいいのか?
弁護士さんに聞いてみました。
(まぁ、在職中には面と向かって金を払え、となかなか言えないでしょうし、
会社を辞めたあと、であれば、何か請求できるのではないか・・・?)

そしたら弁護士さんは、こういう場合
会社側を訴えて立替金支払い請求、
つまり、不当利得返還請求 ができるとのこと。
不当利得返還請求とは、
ちゃんとした理由も無いのに
他人が損することによって、得をした人は、
損をした人から、得をした分を返せと請求されたら
応じなければいけないというものです。

今回の件に当てはめて言えば
会社が自分のところの備品や消耗品を買う金は
当然本来会社側が負担すべきであるのに、
これを雇われの従業員が頼まれて一時的に立替えて払った。
それで、会社は従業員からのその立替金の支払いを拒んだことにより
経費としての出費を免れて、得をした。
しかし、金を立替えた支払った従業員は、一方的に損をしているので
一方的に得をした会社に対して「得をした分を返せ」と請求できるということです。
これは、民法703条の不当利得について
書かれた条文に基づいて請求できますし、
必要とあらば
会社の就業規則や内部規則を調べてみて
従業員が会社のために立替えた金についての定めがあれば
それを根拠にして請求することもできます。
不当利得返還請求権の時効は、権利が発生してから 10年 間なので
従業員が会社のために金を立替えてから10年以内であれば
いつでも会社に対して請求できますね。
なので、会社を辞めた後に、何年も経ってから不意に
立替えた金のことを思い出して、
「まだ会社(の経理)に経費として落としてもらって
支払いをしてもらってなかったなぁ」
と思い、まだ証拠が手元に残っているのであれば
ある日突然、会社に対して立替金の支払いを求める訴訟を
起こしてもかまわない、ということです。

私も以前、会社の取引先までの往復分の交通費(特急代)を
経理の事務員に請求した時に、
月末まで待ってくれ、と言われて待っていたのに
次の月になっても支払われる気配が無かったので
自分から請求しに行ったことがありました。
どうやらすっかり忘れていたとのこと。
ちゃんと切符を先に渡したのに忘れていたとは・・・
意図的に意地悪で払ってくれない、ということは無いでしょう。
大抵、経理の人が、振り込みとか別の仕事で忙しくて
後回しにしていたら、そのまま忘れてしまったというケースが多いでしょう。
それならそれで、こちらが忘れずに、あとからでも請求すれば
拒まれるということも無く普通に払ってくれるでしょう。

会社のために立替えた金の支払いを断られることなんてほぼないですので、
経費で落とせないから、という理由などで断られる場合は
よっぽど会社にとって必要の無い物を
従業員の独断で買ってきた時でないとありえないでしょう。
そういった、どう見ても経費で落とせないような物を買ってきた場合は
訴訟を起こしても
あくまで自分の金で私物を購入してきたと見なされ
会社のために立替えて支払った金とは見なされないので
会社に対しての請求は認められずに
請求は棄却される可能性が高いでしょう。
SH
オークに捕らえられた女騎士が、経理のお姉さんにされてしまう話。
なにげに一時期書店の店頭にたくさんこの本置いてありましたね。
なかなか気楽に読めるし、面白かった。
簿記の基礎を実務面から教えてくれていると思う。
簿記を知りたい方向けの入門書みたいな物か。
まぁ、普通の経理事務の仕事やる上では
簿記3級程度の知識さえ有れば十分なんですけどね。
今の世の中、会計ソフト使えればそれでいいので。
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