<質問の概要>
原告が民事訴訟に勝訴して、
原告が被告の財産を、
強制執行手続きによって差押えようとしても、
被告の、どこの銀行口座にも、“もともとお金がほとんど入っていない”場合や
被告が、不動産や車、現金など“他にも差押えできるような財産をもともと全く持っていない”場合、
被告は、原告の強制執行を妨害していることにはなりませんよね?
被告は強制執行妨害罪になりませんよね?
<弁護士回答の概要>
もちろん,いかなる犯罪にもなりません。
もともと財産がない場合は、当然ですが。。。
もし、被告が財産を持っていた場合には
被告が原告から訴えられて裁判が始まった後や、
被告が負けて、原告が被告の財産を差押えしようとした後に、
被告が自分の口座からお金を抜いたり、他の財産を隠したり処分した場合には
強制執行妨害になり得ますが、
そういった時期であっても、
通常の生活の必要のために口座からお金をおろすことは,強制執行妨害行為とならず、
強制執行妨害罪には問われません。
<私の考え>
話をまとめます。
強制執行妨害罪とは、
勝訴した原告が、被告の財産を差押えようとした際に、
あらかじめ被告が自分の財産を隠したりして、
原告の強制執行を妨害した場合に適用される罪です。
余程財産を隠したりしない場合には適用されない刑罰だとは思いますが。
まぁ被告の立場なら誰もが考えることですよね・・・
弁護士の回答にあるように、
元々被告に財産がなく差押えるものがない場合は、
被告自身にもどうしようもないので
強制執行妨害罪は被告に適用されません。
当たり前ですね。
しかし被告が差押えできる財産を持っている場合に、
被告が訴えられて裁判が開始した後すぐに
被告自身が自分が負けることを見越して、財産を隠したり、
または
被告が裁判で負けた後に、すぐに自分の財産を隠した場合は
強制執行妨害に当たり得る可能性はあるらしいです。
しかし、弁護士にさらに詳しく聞くと、
さすがに前者、つまり裁判が始まってすぐに財産を隠しても
まだ、その時期に自分の財産をどうしようが問題ないという見方が強いらしいです。
強制執行妨害罪が適用される可能性があるのは、
後者、被告が裁判で負けてから、の方のみらしいですね。やはり・・・
それに裁判が始まろうが、裁判で負けようが、どんな時期であっても、
日常生活のために自分の口座からお金を抜いたりすること自体は全く問題ないようです。
<参考までに>
公務の執行を妨害する罪 (強制執行妨害目的財産損壊等)
刑法第96条の2
強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした 者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を 知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする。
一 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮 装し、又は債務の負担を仮装する行為
二 強制執行を受け、又は受けるべき財産について、その現状を改変して、価格を減損し、 又は強制執行の費用を増大させる行為
三 金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で、譲渡をし、又は 権利の設定をする行為
SH
強制執行のやり方について解説した本。
読みやすいですし、分かりやすいですし
著者が読者に語りかけてくる感じで、スッと書いてあることが頭の中に入ってくる感じ。
中身も法律うんぬん語っているというよりも、具体的な事例をあげて書いてある。
民事訴訟がどういうものかを訴訟の流れを分かりやすく書いてある本は最近多くなってきましたが
ならば訴訟に勝った後どうすればいいか?
ということを、分かりやすく書いてある本は少ないですが、
この本はその少ない本の中の一冊です。
それにけっこう細かいところにまで手が行き届いている。
流し読みでもいいので一度読んでみては?(というか流し読みで十分読める)
<無一文 二束三文 財産 口座 強制執行 妨害>