昔、レジで働いていた頃、中年の男性の客が来店してきて
レジカウンターで銘柄を指定して
「そのタバコくれ」 と言ってきたので
「はい、どうぞ~」 と言ってレジ通して、そのまま手渡して
そのあと金出すの待っていたら、こっちの顔をジッと見つめて
「ああ、ありがとう、くれるんでしょ?」
とか言ってきたことがありました。
この瞬間、はぁ?と思って冗談か何かだと思ったのですが、
もしかして警察呼ぶハメになるのか、とちょっと覚悟したのですが
冷静に
「いえ、代金○○円になります。」
と言ったら、「ふ~ん」みたいな、しれっとした顔をされましたが
レジにちょうどの代金放り投げるようにして置いていき
そのまま帰って行きました。
何事もなくて、よかった、よかった。
それで思ったのですが、
客に「タバコくれ」と言われて
店員が「どうぞ」と答えて、そのままタバコを渡したら
客観的に見て、
タバコを贈与する契約(無料でタバコをあげる約束)を、
結んだことになってしまうのか?
と考えてしまいました。
たしかに、タバコを渡す際に代金のことについては
口頭では触れませんでしたが
一応こちら(店側)としては、代金と交換するつもり、
つまり商品を売る趣旨で、売買契約を結んだつもりだったのですが、、、、、
それでも、やはり代金をもらうことについて
何も言及せずにタバコを渡したから
通常、贈与契約とみなされるので
もしも、
客が金を払わずにタバコだけもらって立ち去ってしまったとしても
店側は何も言えないのか?
と少々疑問に思ったので、弁護士さんに聞いてみました。
それで弁護士さんは
「 “くれ”、“あげる”、などという言葉上のやりとりだけで
どういった契約が結ばれたのか、判断すべきではないでしょう。
食料品販売店という場所でおこなわれた、
ということが大事です。
店で物を無料でくれるわけがない、ということを
大概の常識ある人であるなら分かっているはずですので
誰が見ても贈与契約ではなく、売買契約が結ばれたと理解できるでしょう。 」
と言っていました。
つまり言葉上だけで、どのような契約を結んだのか?
決まるわけではなく
契約が結ばれた時の 状況 も加味して
判断されて決まるわけです。
たとえば、友人同士で「~くれ」と言われて
「ハイ、あげる」と渡したら
普通に贈与契約が結ばれて、物の引き渡し(債務の履行)が
おこなわれた、と判断されるが、
店という場所において
客が「~くれ」と言って
店員が「分かりました、どうぞ」と言って
なにか物(というか商品)を渡したら売買契約が結ばれて、
こうして店員が客に物を引き渡したので
客も店員にその分の代金を支払わなければいけない、と判断されるわけです。
客観的に見て。。。。(訴訟になったら裁判官から見て)
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まぁ、こうして述べてみると、
当たり前といえば、当たり前のことですが
もしも、誰かと契約(約束)を結ぶ時に
簡単な口頭でのやりとりで契約を結んだがために
あとから、相手に言葉尻をとらえられて(ささいな言い損ないにつけこんで)
自分にとって都合よく契約内容を解釈されて
いろいろとイチャモンつけられないようにするためにも
これらのことは知っておいて損はない、と思います。
一番最初の客の話に戻りますが、
まさか店のレジカウンターにまできて
タダ(無料)で、タバコ(煙草)をもらえるとでも
本当に思ったのか?って思いました。
ちゃんとタバコの前に値札だって貼ってあるのにね。
その客は、今まで、どうやってタバコを調達していたのでしょうか?
たまに客がなにを考えているのか分からない時がありました。
酒でも入っていたのか?
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