今回は、江戸時代の 失踪 に関しての話を、簡単にやります。
江戸時代の、ある日、
とある地方の村に住んでいる農民の男が
妻子を家に置いたまま、1人で村から逃げ出してしまった。
理由は、家族を養うために
自分の持っている田畑を耕すだけでは収入が少なかったので
他にも、なんか布を売ったりするような商売を始めたけれども
めちゃくちゃ失敗して
逆に数千万円くらいの借金が出来てしまった、ということ。
(なんか、いろいろあったらしい、、、
でないと数千万の借金なんて生まれない!)
なので、先祖代々受け継いできた自分の田畑を
その数千万の借金返済のために手放すことになったのだが、
どうやら、そのことに、いろいろと精神的に耐えられず
思い詰めてしまい、
村から1人出て行ってしまった、とのこと。。。
で、その男の住んでいる村の役人は
それらのことを、その男の残された家族から聞いて
とりあえず7日ほど(1週間)
その男の立ち寄りそうな、村の中の近くの場所を探したり、
家に戻ってくるかもしれないから
待ちながら様子を見ていた。
しかし、結局、帰ってこなかったので、7日たってから
村の役人は、そこで初めて、
その地域の代官所(役所)へ
今回のことを正式に報告することになった。
(あ~、めんどくせぇ、手間かけさせやがって、という気持ちでしょう)
そしたら代官所から、
捜索の許可が30日間だけ下りて
(ほぼ1ヶ月間ですね)
村役人は、周辺の村々を軽く探したりしたが、
その30日間の期間内には、逃げた男は見つからなかった。。。
なので、代官所に再度、そのことを報告してから、許可をもらって
今度もまた、30日間の捜索許可をもらったが
それでも、なかなか見つからないので、
またまた代官所に、その旨を報告して
捜索期間を延長しようとした時に、、、、、
その農民の男は、とうとう帰ってきた!
帰ってきてしまったのだ!!
失踪してから大体、2ヶ月ちょっと経った後のことだった。
・・・ここで、ちょっと説明しますが
江戸時代は、このように村とかで誰かが行方不明になったら
(大抵、今回のような、失踪が主な理由ですが)
まずは、その者の家族が、村役人に、そのことを報告します。
そしたら、村役人は、すぐには
その地域を管轄する代官所(役所)などには
報告せずに、しばらく
当人が大人しく帰ってくるかもしれないので待ちます。
あんまり大事には、したくないですからねぇ。
1週間ほど様子見。
それでも、なかなか帰ってこなかった時には
仕方なく代官所(役所)に報告したあとに
今回のように1ヶ月くらい期間を定めてもらった上で
捜索許可をもらい周辺を探し回ります。
( もちろん、そんなに一生懸命には探しません。
なぜなら、今も昔も役人ですから! )
そして、捜索の終了期間が迫ったら、
再度、代官所に報告して
また、期間を定めてもらい、捜索許可をもらって探す、、、、
ってことを何度か繰り返します。
そして、トータルで180日間、
つまり半年間ほど探しても、見つからなかったら、
そこで「永尋ね」(ながたずね)ということになって
つまり、捜索打ち切りとなって、失踪した行方知れずの人は
戸籍から外されて「いない人」になってしまいます。
ちょっと現代と比較してみましょう。
今現代の日本だと、行方知れずになった人の家族が
警察に捜索届を出して、そのまま見つからずに
7年 が過ぎた場合に、
家族が「これはもうダメだぁ」と思い
家庭裁判所に行って手続きしたら
失踪した人の戸籍が無くなってしまうわけですが、、、、
、、、、江戸時代だと、それに対して、たった半年(180日間)で
戸籍が抹消されてしまうのですね。
ふ~ん。
まぁ、今回の逃げた農民の男は2ヶ月弱で、村に戻ってきたので
戸籍は抹消されませんでしたが。。。
・・・で、それで、そのオメオメと村に戻ってきた男は
いなくなっていた2ヶ月の間、
村を出て何をやっていたのか?というと、
どうしても田畑を手放したくないので
親戚や知人の家を巡って、金の都合をつけようとがんばっていた、、、、
が、当然なかなか上手くいかずに途方に暮れていたら
そこを同じ村に住んでいる人が、見つけて
「 どうやら、あなたの田畑に関しては
差し押さえされずに、済みそうだよ!
相手方も少しは借金の返済を、それなりに待ってくれるってさ。
とりあえず村に帰ろうよ。
みんな心配しているよ! 」
と、言われて、仕方なく、
その人と一緒に、とりあえず帰ってきたのである。
しかし、それはもちろん、連れ戻すための方便であった。
村へ帰ったら、まずは村の役人のところに行って
ひたすら、「迷惑かけて、ゴメンナサイ」させられることになった。
それでも、なんとか、村を追い出されずに
再度の帰住は認められますが、
田畑は、もちろん借金のカタとして差し押さえられて
手放すこととなってしまいます。
そして、その後、その農民の男は
家族もいるし、仕方なく、農民以外の
なんらかの職人になって、働きだすのですが、
職人は上下関係や人間関係がつらくて、なかなか辛かった。。。
雇われの身分は、やっぱり、いつの世も辛い。
なので、また自営業的な農民に戻りたいと思い
借金のカタとして取られた、元自分の田畑を取り戻そうと
いろいろ、抗議したりして、あがいて、がんばったのですが
やっぱり無理でした。
そして、その後も、彼は、
耐えながらも、ずっと職人として
がんばっていったらしい、です。
チャンチャン。
<江戸時代 失踪 戸籍 抹消 期間 期限 タイムリミット 消失>