相手に誤って怪我をさせてしまったり、相手の物を壊してしまったりした場合に
損害賠償を求められることがあると思いますが、
こちらの手元に お金が無くて どうにも請求された金額を
支払えそうにもないってことがあるでしょう。
そういう場合に、損害賠償をお金で払うのではなく
手持ちの “物” で代わりに払うってことはできないのか?
というのが今回の話です。
通常、相手(被害者)が民事訴訟を起こしてきて
損害賠償請求してきたら
「いくらか金銭を払って賠償しましょう!」
という判決しか裁判所は出しません。
これを 金銭賠償の原則 といいます。
つまり、損害賠償は原則として金で賠償すべき、ということです。
民法に根拠条文があるので下にはっておきます。
(損害賠償の方法)
民法 第417条
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

なので、金銭ではなく、物で賠償(弁償)したい場合には
相手(被害者)から民事訴訟を起こされて請求される前に
「私の手元にはお金(現金)がまったく無いから、
訴訟を起こして勝ったとしても、
差し押さえれるだけのお金が口座にも家にもありませんよ~」
「それよりも、私の手元にある高級そうな時計とか
絵画をあげるから、それで賠償したことにしてくれませんか?」
と頼んでみるべきでしょう。
( ・・・こちらの手元に金が無いのに、訴訟なんて起こされても、
たとえ相手が勝ったとしても
こちらの財産を上手く差押えができないのは言うまでもないことですが、
それでもこちらの取引のある銀行とかに
連絡を入れられたりしたら、こちらが訴えられたことが知られてしまい
迷惑きわまりないので
やっぱり訴訟を起こされるのはできる限り避けたいですねぇ。 )
とりあえず、このように金の代わりに、物で払って賠償したことにする、というのを
代物弁済 といいます。
つまり相手が 合意(同意)さえしてくれれば
裁判外において金ではなく物で賠償するという形もとれるわけです。
たとえば、相手が賠償額として20万円を請求してきたら
こちらもそれと同じ程度の価値がありそうな物を提示してみて
相手が「それでいいよ」と承諾してくれて
相手に物を渡し終えたら
それで賠償は済んだことになります。
あと、あくまでも価値が “ありそうな” 物、なので
先のたとえで言えば、絶対に20万円ちょうどの価値がある物でなくとも
多少価値が20万円より低くとも
相手がそれで承諾してしまえば、別に構いません。

・・・・・しかし、物で賠償が済んだ後に
相手(被害者)が
「やっぱり金で払ってほしいなぁ~」
と、言い出すことが多いみたいです。
だから賠償を代物弁済で済ませた、という証拠をちゃんと
当事者の署名・印鑑を入れるなどした
書面 で作って残しておきましょう。
<弁済 損害賠償 請求 物 賠償額 金銭 価値>