※今回の記事では、
離婚して別れた親が亡くなったら、
籍の抜けた、血の繋がった子供はどうやって遺産を相続するのか?
について書いてありますが、
別に親が離婚していない場合の子供の相続(普通の相続)の場合と、
相続手続きの方法は大差ないので、
親が離婚していない人でも参考にしてみて下さい。
<質問の概要>
もしも、 “とある子供”の両親が離婚して、
その子供が母方に引き取られた場合の話ですが・・・
その後、離婚して別れたその子供の“父”が亡くなったら、
父の遺産(財産)の相続が始まりますが、子供がその遺産を相続したい場合に、
その相続の手続きの時に、その子供が「自分が父の実の子供であること」を、
どうやって証明すればいいのでしょうか?
父の戸籍から抜けていても、実の子供であれば父の遺産を相続できますよね?
以上、よろしくお願いいたします。

<弁護士回答の概要>
おしゃるとおり、ご両親が離婚しても、法律上の親子関係はなくなりません。
子供は父の相続人です。
父の戸籍から子供の記録は消えません。
また、子供の戸籍にも父の名前が記載されています。
子供と父の戸籍の記載を見れば分かりますので、
相続の際に親子関係を証明するのは簡単ですよ。
以上、参考までに。

<私の考え>
今回の質問に関して、
弁護士さんに聞いて教えてもらったことや、自分で調べたことをいろいろ書いていきます・・・
まず弁護士の言う通り、
親(父母)が離婚して、母方に引き取られた子供は、
父の戸籍を抜けても、父と血の繋がりのある実の子供であることには変わりなく、
離婚後に父が亡くなったら、
父の遺産を(他の相続人よりも優先して)相続できます。
しかし、子供は父が死んだことを知った時に、
父の遺産を相続したいと思ったときに、
相続の手続きが必要となりますが、
その際に子供が、自分と父が親子関係にあることを証明することが求められます。
そして質問の事例でもあったように、
実際にどうやって、その親子関係を証明するか?というと、
籍の違う死んだ父 と その子供 の 戸籍謄本 によって証明します。
戸籍謄本とは、
戸籍原本の写しのことで、原本の内容を“すべて”写した書面です。
(原本の内容を“一部のみ”を抜粋して写している書面である、
戸籍抄本とは違うものです。)
役所に行けば1枚450円で出してくれます。

また、今では役所で発行する際に、
戸籍謄本という名称ではなく、
戸籍全部事項証明書という名称で発行されています。
しかし、この記事では、一応“戸籍謄本”という名称を使っていきます。
相続の手続きをする際には、
親の戸籍謄本が無くとも、子供の戸籍謄本さえあれば、
十分子供が、
亡くなった離婚して別れた父の実の子供であること(親子関係)の証明ができますが、
(子供の戸籍の身分欄に父の名前が書いてある)
提出先によっては父の戸籍謄本の提出を求められることがあります。
もちろん亡くなった離婚した父の戸籍謄本にも、戸籍を抜いた子供の記録が残っています。
(戸籍謄本に残っていなかったら父の除籍謄本に載っているかも)
提出先によるとは・・・特に銀行。
例えば、父の銀行預金を解約して、子供の口座に父の預金を振り込む場合、
親子関係の証明書として
子供(相続人)の戸籍謄本以外にも、
亡くなった離婚した父(被相続人)の戸籍謄本も必要と言われる可能性が高いでしょう。
子供が自身の戸籍謄本を取ることには何の問題もないのでしょうが、
子供が、亡くなった離婚した実の父の戸籍謄本を取得できるのか?というと、
相続人であれば問題なく取得できます。
流れとしては、まず子供自身が、自分の戸籍謄本を取得してから、
子供が自分の戸籍謄本を持って親子関係を証明して、
亡くなった離婚した父の戸籍謄本を発行を依頼します。
その際に「出生から死亡までの戸籍謄本が欲しい」と言いましょう。
まぁ相続に関する手続き自体は、親が亡くなる前に、
離婚していようが、離婚してなかろうが、
ほぼ同じ内容の手続きですね。変わったところはないです。

最後に余談ですが、
今回の記事を書くにあたって、少し調べ物をしていた時に、
どこかの質問掲示板でたまたま見つけた質問なのですが、
「前妻と離婚した後に、違う女性と再婚して子供ができたので、
その子供に自分が死んだ場合に、自分の全遺産を相続させたいので、
前妻との間にできた子供に相続放棄させるにはどうすればいいか?」
という質問がありました。
そして、すごくまわりの回答者から叩かれていました・・・
被相続人、つまり質問者が亡くなる前に、
相続人、つまり質問者の前妻との間の子供に、
自分の遺産をどうやって放棄させればいいのか?
っていう内容ですね。
はっきり言うと例え、
被相続人(質問者)が亡くなる前に、
相続人(質問者と前妻との間の子供)に相続を放棄させる念書を書かせたとしても、
それは無効となります。
被相続人が亡くなった後でないと、
相続人に相続の放棄をさせることはできません。
それにまた、例え、
被相続人である質問者が、亡くなる前に、
「前妻との間の子供に一切自分の財産を相続させない」
という旨の遺言を残したとしても、
遺留分(最低限相続人に渡さないといけない相続財産)
を受け取る権利が相続人(質問者と前妻との間の子供)に残ります。

ということで、
相続財産を一切全部、質問者が亡くなる前に、
前妻との間の子供に渡さないというのは理屈の上では不可能です。
まぁ先程も書いたように、
被相続人が亡くなる前に書かせた相続放棄の念書は無効となりますが、
一応念のため書かない方が良いでしょう。
あとで被相続人が亡くなった後で、
他の相続人から「あなた相続放棄の念書書きましたよね?」と
心理的な圧迫を加えられる恐れがありますので。。。。
※説明の必要はないと思いますが、
遺産相続において、
相続財産を遺して亡くなった方のことを「被相続人」
相続財産を受け継ぐ側の人は「相続人」と言います。
・・・今回の記事は以上です。
<遺産 相続 銀行 証明 相続人>