<質問の概要>
債務者が(自分から金を借りて、全く返そうとしない人)が、
個人商店 (家電屋、靴屋、服屋、魚屋、肉屋、etc)を営んでいたとします。
そして、債権者(金貸した人)が債務者に対して、
「金返せ」という民事訴訟を起こして、無事勝訴しました。
それで債権者が、債務者の所有物を差押える権利を得た場合、
債務者の店が 営業中であっても 構わず、
裁判所の差押え執行官や一緒に店に乗り込んで、
店の商品や備品を 差押える ことはできますか?
以上、よろしくお願いします。

<弁護士回答の概要>
営業中 であっても差押えはできます。
しかし店を経営しているのが、債務者であったとしても、
店の所有権が別の人にあった場合は、差押えは難しいと思います。
以上参考までにお願いします。

<私の考え>
まず、民事訴訟とはそもそもどういうものでしょうか?
例えば、相手が自分から金を借りていて、催促しても返してくれない場合、
自分が力づくで相手からは回収できないので(窃盗などの犯罪になってしまう)、
「国」の力を借りて(執行官とかに代わりに取り立ててもらう)、
金を回収したり、現金がない場合は、相手の所有物を売却して回収する必要があります。
(いわゆる強制執行というもの)
まず、その「国」の力を借りるために、
裁判所に自分が相手(金借りて返さない人、債務者)に対して、
金を返してもらう権利を持っていることを主張して認めさせないといけません。
それで勝訴して裁判所に自分の権利を認めさせたら、
裁判所から 債務名義 という、
差押える権利書みたいなものをもらいます。
その債務名義を用いて実際に相手から金の回収を行います。
いろいろ、相手(債務者)から金を回収する方法はあるのですが、
普通は銀行を通して、
相手の預金口座を差押えるのがスマート一般的です。
(相手がどこの銀行と取引しているのか知っていないといけないですが)

しかし、今回、もしも、
勝訴して得た額が 数万円~十数万円 程度の少額であって、
例え相手(債務者)がどこの銀行に預金口座持っているのか知っていた場合に、
そのまま金を回収することも望むよりも、
相手に恨みがあった場合に、
(なかなか金返してくれなかったという恨み・・・訴訟起こすくらいだから当然ある)
恨みを晴らしたいという気持ちが強く、
また相手が個人商店などを営んでいた場合、
嫌がらせ目的で 、あえて、
債権執行(預金口座の差押え)という、銀行に対してだけ申請するような形ではなく、
動産執行(相手の所持品を差押える)という、直接相手のもとに出向いて、
所有物を差押えるという、
相手により精神的なダメージを与える方法を選択したとします。
それを前提としてさらに話していきます・・・
一応話しておきますが、動産執行は債権執行に比べて、
手間もかかるし、金もかかるし非効率的で 普通は誰も動産執行なんかやりません。
(普通は債権回収として預金口座を差押えます)
特に数万円~十数万円の借金返してもらうために動産執行なんかやろうとしたら、
逆にこちらが損する可能性もありますし、あまり効率的ではないです。
(回収しようとする金よりも、費用の方が高くなることも)
しかしやろうと思えばできるのではないのかな・・・と思います。
まぁ裁判所の執行官にとめられるかもしれませんが。

とりあえず話の続きですが、
動産執行をするために、
裁判所に動産執行の申し出をして、
執行官 と 道具屋さん(その場で所有物を鑑定して買い取ってくれる人)を連れて、
直接相手の店へ出向いたとします。
事前に一応通知だけはしてあるとはいえ営業中にいきなり来られたら、
相手としては「今すぐ帰れ!営業妨害だ!」と言ってくるでしょうが、
しかし、こちらは執行令状持っているので営業妨害には一切なりませんし、
それどころか相手が差押えを妨害して来たら、
反対にその行為を強制執行行為妨害罪に問うことができます。
(というか差押えのために営業中でも営業を停止させないといけません、
差押える商品とかを来店中の客に販売させないために)
それで邪魔されずに差押えができますが、
では何から差押えるかべきか?
まぁ普通に考えて最初は、
店の売上金 を差押えるべきでしょう。
(現金も立派な動産です)
店に現金が置いてあれば問題ないですが、相手(債務者)が、
「今店に売上金は一切置いていない」とか言って、
すぐさま隠してしまう場合もあるでしょう。
レジの中の金も少ししか置いてないこともあるでしょう。
というか、それ以前に店に66万円以下の現金しか置いてない場合は、
現金を差押えることはできません。
ならば、次はどれを差押えようとすればいいのか?
まず、その店で “食品” を販売していた場合、それらを差押えることはできるのか?
果物、野菜などの生モノや、パック詰めの魚とか、肉や、惣菜、弁当など、
賞味期限があって腐り、傷みやすいものは、売れないので差し押さえの対象にはできないので無理ですね・・・

しかし、服や靴、家電などを販売している店だった場合はそれらを差押えることができるでしょう。
また、仕事の上で必要な備品などもレンタルやリースではない(借りた物ではない)、
相手(債務者)に所有権のあるものなら、
それらも差押えることができるでしょう。
差押禁止動産 と言って、債務者の生活に最低限必要な生活必需品などの、
日常に使用しているテレビや冷蔵庫、タンスなどは差押えることはできませんが、
仕事上で使うものであれば問題なく差押えできるでしょう。
(車の場合は、仕事用、日常用、問わず差押えできる、一応)

今回、質問の概要でなぜ、一般家庭ではなく、個人商店について質問したかというと、
一般家庭の場合、動産執行をしようにも、家の中は生活必需品ばかりで、
それらは差押禁止動産なので、執行不可となる可能性が高かったからです。
その点、個人商店などは、仕事上の物も多いので、
それらは問題なく差押えることができる場合が多いからです。
ということで、
個人商店の物を差押えたりするケースを例とした方が、動産執行について語る上では向いてるのかな?
と思った次第です。
話は戻って、
そして差押えた物を道具屋さんが、
その場で買い取るか、運び出したりするわけです。
(今は動産執行する人なんか、あまりいないので分かりませんが、
少し前はこんな感じさったそうで)
大体、執行の流れとしてはこんな感じですかね。
しかし、実際差押えて、道具屋が買い取ったものを、
すぐにその場で債務者が買い取って戻すことが多いようです。
いくら、かたくなな相手(債務者)といえども、自分の店の物を差押えられたら、
隠していた金で、それくらい払って買い戻すのはわかります。
また、もっと金に余裕があれば、動産執行される前に、
とっとと金払って強制執行を止めさせる人も多いでしょう。
結論としては、大した債権額でもないのに
ほぼ嫌がらせ目的で動産執行しようとしても
(というか今現代で、動産執行する人はほぼ嫌がらせ目的です、
最初に言ったように費用も掛かるし、
店の商品自体が他人の所有物とみなされ、
十分に回収できない場合も多いし、手間もかかる、
あと店の自体がフランチャイズ店みたいな感じだったら動産執行はもっと難しくなる)
事前に債務者にその旨の通知がいくので、
執行される前に、お金を払って終わりになるでしょう。

他にもいろいろ書きたいこともあるし、
補足したいこともたくさんありますが、
また後日追記する(かも)ということで・・・・
・・・今回の記事は以上です。
今回は動産の強制執行について少し思ったことを、
語らせてもらいました。
動産執行する人なんて今の時代ほんといないと思います。
実際に債権回収したい人は、
普通に相手の預金口座がどこの銀行の、何支店にあるのか、
訴訟起こす前に調べて、
そこを押さえましょう。
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