今から140年ほど前、1880年代前半頃の話。
うろ覚えで書くから、そこらへんご理解を。
とある海岸沿いの地域で、よく当時、捕鯨がおこなわれていた。
海辺の近くに迷い込んできた鯨を見つけてから、
何人かで協力して捕獲した後に、
捕らえた鯨を競りにかけて
一番高い金額を出した人が落札するのである。
つまりその落札額が、ほぼ捕らえた鯨の売上金になるってことですね。
それで、ある日、
とある人が、迷ってやってきた鯨を海辺で最初に見つけて
その鯨を他の何人かに協力を求めて、引き上げて捕らえたのであった。
で、その迷い込んできた鯨を最初に見つけた人が
鯨を見つけて拾った人(つまり所有者)として
届出を出したのである。
けれどもその鯨を捕らえるのに、呼びかけられて協力した何人かが、
いーや、自分たちにも所有権がある、などと主張して
裁判を通して訴えてきたのであった。
で、それに対して訴えられた、鯨を最初に発見した人は、反論した。
鯨を競りにかけて売る際に、私が所有者として
堂々と誰にでも確認できるように、名前が掲示されていたのに、
その時には何も言わなかったじゃないか!
それが後になってから、自分たちにも所有権があるから
鯨が落札されて得た売上金の分け前が欲しい、とは
どういうことなんだ!
また、それにそもそも、ちゃんと鯨の捕獲に協力してくれたことへの
報酬は事前に支払っています。
つまり、その報酬を黙って受け取った、ということは
鯨の所有権については、私だけにある、と認めたような物じゃないですか!
、、、というような反論の内容であった。
また、それに加えて、鯨の捕獲に協力してくれた人は
訴えてくる際に、
鯨を最初に見つけた人は、訴えられた人が最初に見つけたことに
間違いない、、、と認めていた。
つまり、最初に鯨を見つけた人からの、呼びかけに応じて
手伝ったこと自体は、みずから認めていたのだ。
・・・で、裁判の結果、どうなったのかというと
裁判所は、一番最初にクジラを海辺で見つけた人にだけ
クジラの所有権があって、
他者への売上金の分け前は認められないという判決を出した。
その理由としては、やはり、訴えられた人が
最初にクジラを見つけた人であること、
つまり、一番最初に見つけた人こそがクジラの真の所有者であり
他の人はそうではない、ということを強く
裁判所は主張している。
また、競りの際に、所有者が堂々と掲示されて示されていたのに
その際には、今回訴えてきた人達が、誰も、全く何も
それは違います!と主張してこなかったから、
すでに所有者については、誰も異論がなかったものだと
みなしたようだ。
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