<質問の概要>
学校で教師が、生徒の持ち物を没収する行為は、
犯罪とかにはならないんですか?
ほぼ強制的に生徒から持ち物を、
取り上げているのではないのでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。
<弁護士回答の概要>
一時的に預かる、という形で取り上げるのであれば、
学校の管理権の範囲内といえるでしょう。
しかし、
生徒の持ち物を取り上げて“いつまでも返さない”という対応をすることは、
所有権侵害になって問題であると判断される可能性があるでしょう。
以上、参考までに。

<私の考え>
みなさんの学生時代にも生徒が教師から持ち物を、
帰るまで一時的に没収された、という光景を見たことはないでしょうか?
私の中学生時代、クラスの不良っぽい奴らが、
学校の授業中に携帯ゲームをプレイしていて、
「ピコーン」とかいうゲーム音が、
教師に聞こえて学校に持ってきたことがバレて、
怒った教師にゲーム機を取り上げられていたことがありました。
教師としては、一生懸命教えているのに、
自分の授業をきいてくれず、イライラするでしょうし、
そういうのを放っておくと他にも同じように遊ぶ生徒が出てくるから、
没収したくなる気持ちは分かります。
私自身も友人に貸すために漫画を学校に持ってきて、
それが教師にバレて、
休み時間に職員室までその漫画持ってくるように言われたことがありましたが、
学校近くに住んでいる友達の家に預けてやりすごした記憶があります。

それで今回の質問内容について、
さらに弁護士に聞いてみたところ、
無理やり、ということであれば、
教師に対して理屈上、恐喝罪や強盗罪、窃盗罪などが成立する可能性はありますが、
通常は生徒からの同意があったとみられるから、
任意で一時的に教師に預けるという形での没収であれば、特に問題にはならないらしいです。
しかし、取り上げて保管していたものを、
下校する際にも返してもらえなかったり、
売却したり捨てたりした場合は横領罪に問える可能性はあるそうです。
また教師から持ち物を没収される際に、もちろん拒否することはできますが、
学校からなにかしら処分を受けることはあるかもしれません。

それと 余談 みたいな話になりますが、
今回話した没収は、法律上の「没収」とは違います。
法律上というか、刑法上に没収は、
簡単に言うと、犯罪など犯して捕まった人が、
犯罪に関係のあるものを国が取り上げて、国の物にしてしまうという刑罰の一種です。
覚せい剤を所持していて捕まった人が、
有罪判決を受けて、ついでに
覚せい剤を国に取り上げられるのが、「没収」です。
あまり掘り下げて説明はしませんが、没収に関する条文を下に貼っときます。
参考にしてください。
(刑の種類)
刑法第9条
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
(没収)
刑法第19条
1. 次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物
2. 没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。
ただし、犯人以外の者に属する物であっても、
犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、
これを没収することができる。
・・・刑法第9条の条文にもある通り没収は付加刑です。
「没収」を単独の刑罰として科すことはできず、
何かの罪で有罪判決を受けて懲役刑や罰金刑などになった場合に、
“ついで”として没収できるということです。
・・・今回の記事は以上ですかね。
<関連する記事>
<学校 没収 教師 先生 取り上げる 所有物 恐喝 強盗 窃盗 横領>