<質問の概要>
弁護士が、刑事弁護の依頼をしてきた依頼主のことを
正義感にかられて警察に通報したら
(なんで通報するかは後で話します)
弁護士は、仕事上の知り得た秘密を他者に漏らしたということで
守秘義務違反で罪に問われたりするのでしょうか?
もしかすると、弁護士が依頼主を警察に通報しても
その行為は、正当な理由のある行為であるとみなされて
弁護士は特に罪に問われることは無いでしょうか?
以上、よろしくお願いします。
<弁護士回答の概要>
弁護士は 秘密漏示罪 における守秘義務違反で、
罪に問われる可能性があるでしょう。
以上、参考までに。
<私の考え>
弁護士に刑事弁護を依頼してきた人が
(または単に、依頼までせずとも相談だけしてきた人も含む)
実際になにかしらの犯罪を犯していて
弁護士に対して
「実は俺、実際に犯罪を犯したんだけれども、もし裁判になったとしても
上手く弁護して、“俺は何もしていなかった”というように主張してくれ」
と頼むこともあるでしょう。
その依頼主からの相談を聞いて、弁護士が正義感に駆られて
(こいつは警察に突き出さなければいけない、と思って・・・)
依頼主を裏切って警察に対して
「依頼主がこんな依頼をしてきました~」と通報した場合、
弁護士は、
依頼主の情報や依頼主の相談内容(弁護士の仕事上知り得た情報)を
依頼主の許可なく勝手に他者に漏らした、ということで
罪に問われることがあるのか?(秘密漏示罪の適用がもっともありえそう)
(例え、警察への通報行為であっても)
・・・というのが、今回の質問内容になっています。
まず秘密漏示罪における守秘義務違反というのは
弁護士などの特定の職種についている人が
その仕事上で知った情報を
正当な理由もなく他人に漏らした場合に適用される犯罪です。
条文を下に書いておきます。(刑法に規定されています)
刑法134条1項
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人
又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、
その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、
6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
・・・警察への通報行為による、
依頼主の情報(弁護士の仕事上知り得た秘密の情報)の漏洩が
“正当な理由があった”として、
犯罪(秘密漏示罪における守秘義務違反)ではなくなるということはないみたいですね、
弁護士さんの回答によれば。
しかし「理屈上」は、今回の質問のケースにおける
弁護士の警察への通報行為は
犯罪に当たるのかもしれませんが、
実際に警察に秘密漏示罪に抵触する事件として
立件される(事件として取り上げられる)かは、正直分かりませんし、
そもそもわざわざ弁護士が
依頼主のことを警察に通報することは現実的にありえないでしょう。
(そんなことする弁護士のウワサはすぐに広まりますし、
誰もそんな信用できない弁護士には依頼しなくなりますので)
それに弁護士も自分自身も巻き込まれるような依頼は
依頼内容(または相談内容)を聞いた時点で
通常お断りするでしょう。
依頼を受けるかどうかは、依頼内容を聞いた弁護士次第ですからね。。。
・・・今回の記事は以上です。
SH
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