以前から中国はまだ民法がちゃんと整備がされていないとか聞いていました。
13億人もいる、あんな大国なのに
民法がまだちゃんと整備されていないのに
どうやって人同士の揉め事とか解決しているんだろうか?と思っていました。
それで最近、中国の民事裁判がどのようにおこなわれているのか
興味があって、ちょっとだけ調べてみました。
今回は調べてみて分かったことを、
自分なりに書き出していこうかと思います。
目次
- 中国の民法はバラバラ!? それぞれ独立している?
- 中国の民事裁判は、地元保護主義が強い!
- 中国の裁判官は、法律の専門家ではない!?
- 中国の民事裁判は、裁判官の判断次第? 公平性はあるのか?
- 中国の裁判は二審制になっている!
- 中国の裁判では賄賂が横行しているのか?
- 中国の民法などは、別にこのままでもいいのではないか?
中国の民法はバラバラ!? それぞれ独立している?
まず日本の民法は大体1040条ほど条文があります。
その中に契約のことについてとか、婚姻のことについてとかの条文が
ギッシリ詰め込まれている形になっています。
対して中国には民法と呼べるものはあるにはあるが、(民法通則というもの)
150条ほどの、民事紛争についての基本的なことが書かれたものしかありません。
条文数は日本の民法の 7分の1くらいしかないですね。
しかし、日本であれば一つの民法の条文として組み込まれているはずの
契約のことについてとか、婚姻のことについての、いくつかの条文が
中国では、民法とは独立した、一つの
契約法であるとか、婚姻法という法律の形で存在しています。
つまり、日本では民法の中の条文として存在しているはずのことが
中国では独立したひとつの法律として存在しているので
なんというか・・・まとまっておらずバラバラになっていて
把握しにくい状態になっているのです。
それに、それぞれの独立した、民事関係の法律同士もお互いに矛盾が多いみたいですし。
法律というのは
(この場合、民法として)ひとつにスムーズにまとまっていた方が矛盾も無いですし
使いやすいのに。。。。。。
中国の裁判官にとってはものすごく面倒なことでしょうね。
事案に応じて、別々の法律を
互いに矛盾もあることを念頭において、それぞれ調べなきゃいけないなんて。
民事に関することなら、民法としてひとつの法律にまとまっていれば
その法律だけ調べればいいですからね。
もちろん中国政府側も、これらを民法として一つにまとめようとしましたが
いろいろな中国内部のゴタゴタの事情により困難となり、何度も見送り
現在も未だにまとまっていません。
まぁ中国は広すぎて、いろいろな民事問題のケースが多すぎて
なかなか一つの民法という法律にまとめきれないのでしょう。
中国の民事裁判は、地元保護主義が強い!
外国の企業が、中国にやってきて
中国の企業と取引とかで揉めて、民事裁判になったら
まず中国の企業が勝つということです。
まぁ外国の企業にとってはアウェーですからね。
これは別に中国に限った話では無いと思いますがね・・・
それで中国にやってきた外国の企業が
中国の企業と揉めそうになった場合は
裁判なんてしようとせずに、まずは、なんとか話し合いで解決できないか
模索するらしいです。賢い選択です。
しかし中国内部で中国人同士で民事的に揉めた場合は、どうなんでしょうかね?
より裁判をやっているところの近くに住んでいる人が有利になる、
ということなんでしょうか?
よく中国の裁判は地方保護主義だとか、地元保護主義だとか聞きますが
そこらへんは、もっと調べてみないと分かりませんね。
中国の裁判官は、法律の専門家ではない!?
中国の、特に地方の裁判官というのは
大抵、元中国政府の役人とか退役軍人が天下りしてきたような人ばかりです。
それに最近までは(2000年初頭ぐらいまで)
別に裁判官になるのに、弁護士のような資格さえ必要なかったみたいです。
なので、裁判官なのに法律に疎い人が多いのです。
それでも中国の地方の農民達よりは、かなり法的な知識はありますがね。
中国の民事裁判は、裁判官の判断次第? 公平性はあるのか?
中国では、裁判官の裁量の余地を、制限するために民法自体が
まだ不完全なものなので
裁判官は、
ほとんど自分の裁量(判断)に基づいて
判決を出さないといけないことがよくあります。
でも、さっきも話したように、中国の裁判官は元役人の人達であり
そんなに裁判に詳しくないですし、民法だって未完成なので
毎度、公平で均一的な判決なんて下せるわけがありません。
つまり、裁判官は、訴訟当事者の言い分をそれなりに聞いて把握した上で
裁判官の考えで、まぁまぁ妥当な判決を出して
揉め事を強制的に解決している、ということ。
法治国家とは、いったいなんなのか?
よって、法律によらず、裁判官が積極的に揉め事を
自分で判断して解決していかないといけないので
ある意味大変みたいです。
まだ、細かく、しっかりした矛盾の無い法律(民法)で
判断を拘束されていた方が楽ですね。
中国の裁判は二審制になっている!
中国の裁判は二審制です。
日本の裁判は三審制なのに・・・と思うかもしれませんが
日本ではなかなか一審でいったん判決が出たら
その判決に不満があっても、なかなか上訴して二審目へ行くことができません。
しかし、それに対して、中国ではあっさり二審目への上訴が認められるみたいです。
その理由としては、中国の民事裁判が公平では無いということを
中国の裁判所側も良く理解しているみたいなので(笑)
まぁもう1回審理してあげてもいいんじゃないか、という風潮になっているらしいです。
中国の裁判では賄賂が横行しているのか?
法律よりも、裁判官の裁量(判断)に基づいて判決が下されるのであれば
裁判官にいくらか金を渡して
少しでも、自分の都合の良い判決を出してもらえるようにとりはからいたい、、、
と考える人が出てくるのは、仕方のないこと。
しかも、結構、賄賂は横行しているみたいなので
ほぼ、暗黙の了解みたいなことになっているとのこと。
まぁ裁判官に賄賂が通じるのであれば、それはそれでやりやすいのではないでしょうか?
もちろん賄賂自体は表では禁止ということになっているのでしょうが。
だから、どのようにして、または、いくらくらい
裁判官にうまく賄賂を渡して味方についてもらうのか?考えることも
むこうの国では立派な訴訟戦略のうちの一つなのかもしれませんね。
中国の民法などは、別にこのままでもいいのではないか?
いろいろ、ちょっとずつかじるように
中国の民事裁判について調べて書き出してみましたが
はっきり言って中国は別に民法をまとまったものへと
完成させる必要はないんじゃないか?と思いました。
日本みたいに狭くてコンパクトな国であれば、民法を整えて
そのしっかり洗練された民法に基づいて裁判官が
当事者にとって公平な判決を出すなんてことも可能なのでしょうが
中国みたいな大きな国で、様々な人が住んでいて
いろんな揉め事があるのに、それに臨機応変に対応できる
洗練された矛盾の無いまとまった民法を作ろうなんて
そもそも不可能なのではないか?と思います。
民法が整わず、しっかりした細かい法に基づいた
判決を出すことができなくとも
それなりに当事者が、まぁこんなもんか、としぶしぶながらも納得できる
判決をとりあえず出して、どんな形であれ
揉め事に終止符をうてるようであれば、それで十分でしょう。
というか民法を整えて、細かく裁判官の裁量を制限してしまう方が
中国においては良くないと思います。
中国にはいろんな揉め事がありえるからこそ
法律による厳格で、できるかぎり公平な判決を出すように目指すよりも
裁判官の裁量(判断)に基づいた柔軟な判決を迅速に出すことの方が大事でしょうよ。
そうでないと、ただでさえ民事事件の多い、中国の裁判所の仕事がまわらないでしょう。
中国の裁判官とか法学者の中には
裁判官の判断重視の裁判のやり方が大変だから
そのような裁判制度根本を変えていこう、そのために民法も整えていこう
と考える人もたくさんいるみたいですが・・・・・
中国の裁判官がどんな揉め事でも、「これはこーだ」「あれはあーだ」と
ポンポンと判決を出してくれるのは、迅速でいいことではあるが
中国の中でも不公平な判決が多い、と不満を感じている人もいるということか。
ですけど、このような仕組みを変えようとするのは、やはり
これ以外の仕組みは中国には合おらず、かえってさらに支障が出るのでは?
と思います。
今までも従前のやり方でやってこれたのだから、
これからもそのままの裁判のやり方を根本において
なんとか、うまくやっていくやり方を模索していけばいいと思うのですがね。。。。
SH
あれだけ人口も多く大きな国が、どのような法律に基づいて
秩序をそれなりに保っているのか気になりますよね?
それで中国の法律ってどんなものなのか、ちょっと知りたい!という人には
とても良い本だと思います。
読みやすく、頭にすんなり内容が入ってきます。
まぁ日本と比べるといろいろギャップはあるのですが
中国という国がどのような歴史を歩んできて、どういった社会事情を抱えているのか
少しでも知ることができれば
どうして、そのような法律ができたのかも、多少は納得できるはずです。
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